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#33 テーマと価値の重要性・・・ [音楽]

2年くらい前、ココで『ゲームセンターCX』の映画版について自分なりに思ったこと、感じたことを書いた。今回は、その“THE MOVIE”と同じ企画の一環として発売されたサントラについての話。

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 曲目を最初に見た時から思っていたが。ハッキリ言ってテーマというかコンセプトがバラバラで、何というか……カオスな雰囲気、というのがこのCDの率直な印象。自分は昔からRPGとか音ゲーのやつとか、いろんなサウンドトラックを好きで聴いてきたけど――ココまで作業BGMとかに適さないサントラも珍しい。
 大抵こうした作品はゲームのストーリー順とか、ソング集とかでも楽曲の“順序”みたいな部分は重要な要素だと思う。その点がしっかりしているからこそ、いろんなジャンルが収録されているゲーム音楽でも混沌とせずキリッと纏まり立派な形あるものになるのだと思う。そうした点が、このゲームセンターCXのものには欠けている。
 そういう点を踏まえ、トラックリストを整理してみると……

1. 歓喜の歌(交響曲第九番・第四楽章)
 この曲は“つかみ”という点では良いと思う。ただ、番組では現在までにいろんなアレンジが使われているし実際に採用されていたのは「使うのソコ!?」という感じだったというのが正直な感想。ココはやはり一番最初に使用したものか、そうでないなら複数のバージョンをメドレー的に繋いでもよかったのではと感じる。

2. ラストコンティニュー/中山 智明
3. サヨナラゲーム/ワタナベユーコ
4. 戦え! 課長ファイター/石田 希 & カーディガンズ

 OPが終わったら、この番組オリジナル楽曲に! 実際の商品では間に『ぶっちぎりRock'n Roll』『Romanticが止まらない』『ギザギザハートの子守唄』などのアーティスト曲やロックマン2の『Dr.WILY STAGE1』『カイの冒険 ~生放送SP ver.~』といったゲームBGMが入っているけど――正直、前者は各アーティストのアルバムなどで聴けるし(尚且つ、その方が聴いていてシックリくるし)後者に関しては映画版と同様、正に「余計なことをするな」という感じの選曲だと思う。視聴者の中にはロックマン2をプレイした体験やカイの冒険の回を観た記憶などが良い感じに残っているわけで、10周年を記念する品でそれをブチ壊して何の意味があるのか? 制作者が如何に、ファンが欲しいって思うものが解っていないかが明白。考えに考えてコレ、ならば思考が停止しているか空回りしているとしか形容しようがない。
 誕生日プレゼントとかだって、相手の立場で考え選ぶはずだよな。

5. ももこちゃん恋唄/鶴岡 丈志
6. LAST CONTINUE/Tomoaki Nakayama

 この辺りの曲が入ってきて、漸くこのアルバムにツボなポイントが出てくる。最初、Amazonの試聴で聴いたが――この2曲は、既述の番組オリジナル曲以上に「買いたい!」と思わせてくれる要素だった。まあ英語版ラストコンティニューはレミングス編(24時間SP)の時と同様USA編の特典にCD化されているから、どちらも買っていたらオトク感は薄れてしまうが……それでも“ももこちゃん”の方は番組の挑戦を観ていたとしても新たな雰囲気で楽しめ、またその印象も「良いじゃん!」と思えるものだったので、ぶっちゃけ「BONUS TRACK」として入っているカラオケ版よりもボーナストラックという気がした(しかし勿体無いのが、掛け声などを追加した版を16トラック目に隠しトラックとして5分も間を空けて入れていること。それによりSP感も弱まり“単なる間埋め”や“収録時間の水増し”みたいなものになってしまっている。12トラックの版と合わせても5分ないんだから「掛け声なし⇒掛け声あり」という流れで1トラックにミックスしちゃってもよかったと思う。シークレットにするなら、もっと驚きのあるものにしてもらいたかった)。

 ……と、こんな感じだろうか。
 いろいろ書いてきたが、このCDの感想を書くと「勿体無い一枚」の一言に尽きる。Amazonのレビューに「材料はいいのに料理人が駄目」と投稿している人がいたが、正にソレ。
 他のレビューでも「たまゲーの曲とかも入れてほしい」と話していた人がいたけど、本当“サントラ”とタイトルに入れている割には「何で、あの曲入っていないの?」という印象が強い。それっぽい曲といえばソフト紹介時に流れるFantastic Plastic Machineの『The King of Pleasure』『Reaching for the Stars』の2曲は入っているが、10分近くの長い尺が使われているだけに「そうじゃなくてね……」という気持ちもなくはない。

 あと最も「駄目だな」と思ったポイントは、その価格。正直、この内容で定価2,800円というのは“割高”とネタにできるものではない。
 この記事を書いていた時、久石 譲さんの『Piano Stories』というアルバムをかけていたが――こちらは11トラックで1,700円という値段だった。こう言うと「いや、~とは規模や諸々が全然違うから云々」という答えが返ってきそうだけど、商業の場で商品として作品を出すならば土俵的には同じで関係のないことだと思う。自分は同人の音楽作品とかも結構買うけど、アルバムの構成とかイメージみたいなもののしっかりさは、ぶっちゃけこのCDより遥かに高いものも多い。
 テーマをばらつかせない、という意味では先程挙げた6トラックに歌モノにはカラオケ版も加え10トラック1,500円前後の『10thアニバーサリー ソングベスト』っていう感じにすれば少しはお客さんの捕らえ方も変わり売れ方も違っていると思う。
 それなら一緒に祝うような「おめでとう!」という意識も湧くのになー。

 作品の主題(軸)がブレていないか? その作品は単なる自己満足ではなく、多くの人が「買いたい」と感じる要素があるか?
 ものを創り売るという仕事には、その見極めをする客観的な視点が極めて大切であると改めて思った。
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